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 「あの日のオルガン」上映運動実現の願いを携えて、三日月滋賀県知事とご面会したのは、昨年の5月のことでした。
 幸い上映運動へのご賛同をいただき、それ以降丁寧に時間をかけながら準備をして来た、滋賀県での「オルガン」上映運動は、琵琶湖畔のまち東近江市からスタートを切ることになりました。
 昨日は、市のお呼びかけに応えて、約30人の市内各団体の代表の方々がお集まりになっての「あの日のオルガン」東近江市上映実行委員会発会総会が開かれ、市からご提案の2000名市民参加の上映運動を全員一致で決定、滋賀県全県上映運動はいよいよそのスタートを切ることになりました。
 そして明けて翌日は、南国宮古島へ・・・東京でこの映画をご覧になった、たった一人の女性の〝宮古島での上映を実現したい!〟・・・こんな願いが一歩一歩、市内にご賛同の輪を拡げて、この日は上映成功に向けた試写会でした。
 東近江では、冷たい風にコートの襟を立てていたのに、南の島はもはや初夏の装い、あざやかな色彩の花々が咲き、野の緑はその色を深めていました。
 ホテルに荷を解き、コートを置いての試写会場までの30分の道のりは、うっすらと汗ばむには充分な陽気でした。
 それにしても、「オルガン」の上映は、まことに多様な形で展開しています。
 行政が呼びかけてご賛同の団体でつくられる実行委員会…この映画を観て欲しい、その一点で個人が手を結んだ実行委員会…大学保育科の先生が呼びかけて、地域につくられた上映運動…国際ソロプチミストが主催した上映…。
 この作品が、こんなにも多様な方々の共感を得ているのは、子どもたちの健やかな未来が、それ程危機的な状況におかれていることの証左なのかも知れませんし、又この作品が、観る者の胸に子どもたちの命の輝きを語らずにはいられない…そんな反映なのかも知れません。
 全国に向けた上映が始まって一年…、「オルガン」はまもなくその上映を300ヶ所に拡げて、子どもの命と平和への願いを響かせています。
 ゆっくりと、時間をかけながら、人と人との心をつなぎながら…。
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沖縄の春を彩るハイビスカス


# by cinema-tohoku | 2020-02-06 17:46 | 映画 | Comments(0)
 松本から約15㎞、小さな、まるでおとぎの国の電車に乗って、山あいの終着駅新島々を訪れました。
 釜トンネルが開通するまでは、北アルプスの玄関口上高地へのルートは、島々から徳本峠を越えての道のり…数々の山岳紀行にも語られ、一度は訪れてみたいと思っていた駅でした。
 「オルガン」の長野県での仕事が相次ぎ、その狭間になった日曜日の空いた時間を利用しての新島々訪問には一つの目的がありました。
 新島々駅前にある一軒のカフェを訪れる…そんな目的でした。
 ことのきっかけは昨年末、「オルガン」の松本市上映のご希望が届けられ、それでは先ずもって映画をご覧いただくことから始めようと、松本を訪れた時のことでした。
 試写会が終わった後お食事の時に、この上映の中心メンバーのYさんから一冊のご本を頂戴しました。
 彼女の友人の方がお書きになった「ピアニストの兵隊さん」、そんな題のご本でした。
 帰路の列車の中で拝読して、心の中をさわやかな風が吹き抜けるような感動を覚えました。
 時代は「オルガン」と同じく、あの戦火の時代。
 あの厳しかった時を、一人の教師として子どもたちと向かい合いながら、精いっぱいの思いで、子どもたちを守り育てたのは、著者古畑博子さんの母上でした。
 ピアノを弾いて子どもたちと歌を歌うのが好きだった彼女が、戦後進駐してきた米兵とピアノの演奏を通して、その心を通わせ合った史実を描いたお話でした。
 あの戦火の時代、〝鬼畜米英〟の言葉で〝敵〟への恐怖心をあおり、戦争への道をひた走った日本でしたが、平和と音楽をそこに置いた時、人と人は国境を超え、信じあい、心を通わせ合えることを、このご本はやさしい語り口で私の胸に語って下さったのでした。
 そして、その著者古畑さんが新島々の駅前に小さなカフェを開いていることを知って、心暖まるご本をいただいたお礼をするべく訪れたのでした。
 古畑さんは予想通り、いっぱいの笑顔と、やさしいお言葉で私を迎えて下さいました。
 次の予定が迫り、ほんの短い時間のご面会でしたが、お店の名物、心づくしのカレーライスの美味しさも加わって、旅の連続で疲れた私の心に、いささかの栄養を注ぎ込んでいただいた時間となりました。
 きっと、国中のそこかしこにおいでの、こんな心やさしき方々の努力で、私たちの日本はかろうじて支えられているのかも知れない…。
 そんな思いを胸に、次の目的地伊那に向かったのでした。
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新島々のカフェ

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新島々駅

 明治初期、すさまじいばかりの女性への差別を乗り越えて、日本初の女医となった荻野吟子の生涯を描いた作品が完成しました。
 この作品の製作と監督を手掛けたのは、現代ぷろだくしょんの山田火砂子さん…、ご本人ご自身も戦後、数々の性差別を乗り越えて来た、何と御年88歳を数えるお方でした。
 私にとって山田監督は大先輩、勿論のこと以前から存じ上げていましたが、お仕事でご一緒したのは彼女の前作「母」の東北地区配給を担当したことが、初めてのお付き合いとなりました。
 幸い「母」は、民主主義の発展を願う多くの市民の方々と手をつないだ上映運動となり、その東北地区上映は、全国でも特筆される素晴らしい結果となりました。
 そして、「母」に引き続いて山田監督が製作された「一粒の麦」についても配給のご要請が届けられ、東京中野ゼロで行われた完成披露上映会で、私はこの作品と初めて向かい合うこととなったのでした。
 荻野吟子については、そのお名前を知る程の知識しかなかった私にとって、スクリーンに展開される、日本での根深いまでの女性差別の実態、そしてそれを乗り越えて、自らの信念でその道を拓いた荻野吟子の生き方は、主役を務めた若村麻由美の好演もあって、私の胸に深い感動となって伝わり、上映が終了した時には、この作品の配給を決意していました。
 男女共同参画の実現が語られながら、日本での女性の社会的地位は、いまだに低いままに置かれていましたが、その中でも医学界では、はなはだしい実態…。
 日本での女性医師の割合は、OECD加盟国中何と最下位の20%、…まだ記憶に新しい医科大学への入学試験での女性差別の現実…。
 この作品は、こんな時代にありながら、日本初の女性医師を目指した荻野吟子の生き様が、観る者に強烈な印象を与える作品となりました。
 先日、現代ぷろだくしょんを訪れ、山田監督とお会いして参りました。
 山田さんは、大ヒットのうちに上映をスタートさせた本作の動きを、満面の笑顔で語りながら、次の作品は、本格的に性差別と向かい合った作品をつくりあげる…と、熱く次回作の構想まで語って下さいました。
 女性は強い!
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©現代ぷろだくしょん   映画「一粒の麦-荻野吟子の生涯」

# by cinema-tohoku | 2020-01-24 16:18 | 映画 | Comments(0)
 又、新しい年が巡って参りました。
 皆様ご健勝にて新たな年をお迎えのことと存じます。
 私の今年の年始めは、各地に散っていた子どもたちも久し振りに帰仙して、孫達にも囲まれての穏やかなお正月となりました。
 色々なご縁に結ばれながらこの世に生を授かって、その未来に向けて成長する孫達の姿をながめながら、この子等の行く末を案じてみるのですが、やはりその未来には、漠たる不安を感じざるを得ないのでした。
 私達の社会は、かつて経験したことのない程の早さで、大きな変貌を遂げようとしているのではないかと感じるのです。
 しかもその変貌は、人の幸せに寄り添ったものとは到底思えないのです。

 日本語の破壊は目に余るまでになって来ています。
 本来は裏社会の隠語だった「やばい」が、その意味を超えて日常的に使われ、これも本来は打消しや否定を表す「ぜんぜん」が、その真逆の状況を表す言葉としても使われる・・・。
 「メチャクチャ」は、道理に合わないさまや混乱したさまを表す形容詞であったはずなのですが、この使われ方は、まさにメチャクチャであります。
 そして、これらの〝間違った日本語〟が今や若者だけのものではなくなり、大人も含めて大手を振って使われています。
 かつて日本語は、恵まれた四季の移ろいや、豊かな情感を表現する美しい言葉をその中に散りばめながら受け継がれてきたものと思えるのに、今や吐き出される、〝ぜんぜん〟文法に合わない、〝メチャクチャ〟な言葉の数々に日本語の破壊さえ感じさせられるのです。
 言語は、本来その国の文化の根幹であるとするなら、この間の動きは日本の破壊であるかとさえ思えるのです。
 大量消費文明も、もはや行きつくところにまで来たのではないかと思えるのです。
 消費税は10%になったと言うのに、庶民に変わらぬ消費を求めるテレビを始めとした報道の姿勢、そしてそれをいともたやすく受け入れてしまう人々…。
 大都市はまるで不夜城の如く、深夜でも人と光があふれ、その電力を補うため、地方に立地する原発の必要性が語られる…。
 TVの放送やコンビニの営業が、24時間途絶えずに行われることが本当に必要なのでしょうか…。
 その反面、社会には様々な格差が拡大し、ネットを通して人を口汚くののしる言語があふれかえっているのです…。
 
 孫達の未来に思いをやりながら、ついつい絶望的な言葉を連ねてしまいました。
 でも、こんな時代にも、精いっぱいの思いで人の幸せを願った仕事や活動を続けている人々が確実に居ることも知っています。
 私達も、こんな人々と手を携えて、今一本の新作映画の製作の企画も始めました。
 子どもたちの未来が、光り輝くものとなって、その一人一人の上に降り注ぐことを願って…。
 あきらめずに、もうしばらくは映画を通して人と人との心をつなぐ旅を続けてみようと思います。
 本年も宜しくお願い申し上げます。
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# by cinema-tohoku | 2020-01-08 11:20 | ご挨拶 | Comments(0)
 時間の流れの余りの早さには驚かされるばかり・・・又、師走の節が巡って来ました。
 改めて手帳を開いて今年を振り返って見れば、それはまさに「あの日のオルガン」一色に彩られた一年でした。
 この作品は、はじめの頃はなかなかに動きが重く、その展開をいささか心配していましたが、やっと動きが見えて来た様に思えて来ました。
 決して派手ではないが、それでも上質なこの作品が全国に届くのには、これ位の時間が必要だったのかも知れません。
 昨日からは、「オルガン」を携えて長野県を訪れていました。
 昨夜は松本市での初の試写会、何人かの方々にご覧いただいて、松本市上映実現にご賛同いただけるなら、上映に向けた動きをおこそうとの〝先ずもっての試写会〟でした。
 この動きのきっかけも、まさに手渡し・・・。
 前橋でご覧になった方が大感激・・・松本でチェルノブイリ支援活動をされている友人の方にお電話・・・その方とのご相談で実現した試写会でした。
 この試写会には、多彩な年齢層の方25人程が参加して下さり、スクリーンで展開されるドラマを涙をぬぐいながらご覧いただきました。
 そして、幸いにも皆様方のご賛同を得て、松本上映はその成功に向けて動き出すことになりました。
 また、昨夜は遠く上田市からご参加の方が・・・。
 何と、疎開保育園の保母さんだった福地トシ先生が立ち上げた井の頭保育園に息子さんを通わせていて、福地先生とお会いしていたと・・・。
 上映後、上田市での上映実現を熱く語って下さいました。
 明けて今日は、塩尻市での〝先ずもっての試写会〟。
 これ以外にも、松川町・大町市での上映実現に向けた準備が始められるなど、やっとオルガンの音は、信州に響き始めたことも実感させられています。
 私達は、今の時代に生きる自主的な上映運動を「スローシネマ上映運動」と名付けて、これまでもいくつかの作品の全国上映を展開して来ました。
 その中でも、「オルガン」は際立ってスローシネマなのかも知れません。
 あきらめずに・・・ていねいに・・・。
 「オルガン」の上映の輪は、来年にも引き継がれて行きます。
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朝の松本城



# by cinema-tohoku | 2019-12-06 14:03 | 映画 | Comments(0)