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    伊那谷 

 南アルプスと中央アルプスの山々に囲まれた炎天下の伊那谷を汗をぬぐいながら巡っていました。
 聴覚障害をテーマにした映画「ぼくが生きてる、ふたつの世界」が、その上映の輪を全国に拡げていました。
 中でもここ長野県では典型的な<官民一体>の上映運動が全県に拡がり、県内各市の市長さんが先頭に立って、それぞれの市の上映運動が展開され始めているのです。
 きっかけをつくって下さったのは、県北須坂市の三木市長さんでした。
 三木市長さんは、長野県社会福祉協議会の会長もおつとめで、この映画のことを県社協から耳にするや、その上映の今日的な意義をご理解になられ、県内トップでの須坂市上映をご決意され、須坂市聴覚者協会、手話サークルを含めた上映への検討が始まったのでした。
 そして、市内の更に広範な団体を加えて上映実行委員会が発足、11月の1,000名観客をめざした上映運動がスタートすることになりました。
 更に、三木市長さんは、長野県市長会の折に県内各市長さんにこの映画をご紹介、これにご賛同した上田市、塩尻市の市長さんの願いで、両市にも上映運動の旗が上ったのでした。
 地域社会の健やかな未来を願うこの上映運動は、更に県内各市の市長さんのご賛同を拡げ、今日段階で、長野県19市中12市で上映実現に向けた動きが始められるまでに育って来たのでした。
 一つの映画の上映がこれ程各市の市長さんのご賛同を得ることは稀有なことかも知れません。
 何故に・・・。
 その原点に目をやった時、見えて来たのは今日の日本社会が抱える大きな困難の影だったのでした。
 戦後展開されて来た政治の流れは、社会に大きな格差を生むことになりました。
 ともすれば社会的に弱い立場の方々が取り残されかねない現代社会の問題点が大きな影となって全国をおおっています。
 そんな負の影響を抱えながらも、行政の先頭に立つ市長さんたちは、それぞれの町の市民の健やかな未来を願って日々のお仕事についています。
 この現状を何とかしなければ・・・そう願った時行き着いたのは・・・。
 地域の住民の心と心が通い合い、そこに困難を抱えた方が居たなら誰かが支えの手を差し伸べる・・・、そんな社会が実現すれば健やかな未来への道はひらける・・・そして、この映画の上映が、地域の方々の胸にそんな心を育む力になることを確信したことが、長野県でのこの上映拡大の証しなのではないかと思えるのです。
 今日は伊那谷の南端飯田市の市長さんとのご面会でした。
 幸い、この上映の意義に熱くご賛同いただき、市民に向けた上映運動はスタートを切ることになりました。
 そして、午後は同じく伊那谷の伊那市、駒ケ根市の市長さんとのご面会の予定が相次いでいました。
 人と人とが支え合い、共に手を取り合った幸せな未来への道を願って・・・。
 日傘をさしての信州路行脚はまだまだ続きそうです。
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©五十嵐大/幻冬舎 ©2024「ぼくが生きてる、ふたつの世界」製作委員会
 

by cinema-tohoku | 2025-08-21 13:56 | 映画 | Comments(0)