実話にもとづく珠玉のような作品が完成、今全国の映画館での公開が始まっています。
作品の舞台は宮城県塩釜市、ろう者の両親のもとに生まれた一人の青年の心の揺れ動きと成長をていねいな映像表現で紡いだ作品です。
モデルになった五十嵐大さんの両親はろう者でした。
大さんはそんな家族環境の中で、至極当たり前の様に手話を覚え、外の世界の人と両親との通訳もつとめていました。
しかしながら成長と共に両親の他の人たちとの違いに気付き、聞こえない両親に反発さえ覚えるようになっていました。
高校卒業後東京に就職し、彼は多くの方々と交わりその中で自分の両親がどんなに熱い愛情を彼に注いでいたのか、このことに気付いたのでした。
そんな大さんの心の成長を綴った本がプロデューサーの目にとまり、映画化となったのがこの作品でした。
この作品を手がけたプロデューサーは山国秀幸さん。
山国さんは子どものころからの夢だった映画の世界に飛び込み、これまでも数々の社会的テーマを見事な映像作品に結品させて世に送り出して来ました。
そんな山国さんが、前作「オレンジ・ランプ」も携えて私の会社を訪れたのは昨年のことでした。
「オレンジ・ランプ」の配給に力を貸して欲しい・・・ひとしきりその話が終わると、彼は〝実は…宮城を舞台にした製作企画を進めていて…〟、この作品へのシネマとうほくの参加を熱く語ったのでした。
監督にはこれまでも数々の秀作を世に出し、前作「きみはいい子」では私たちも一部の配給も手がけていた呉美保さん、主演の五十嵐さん役には、今、当代一流の人気俳優吉沢亮さん・・・
シナリオを拝見した時、私の決意は固まっていました。
この作品のこころは幸い多くの宮城の方々の心につながり、映画館上映終了後宮城県全市町村上映をめざす県民運動組織も立ち上がり、〝心つなぎの県民運動〟の準備は短い期間に整ったのでした。
日本社会は大きな困難の時代を迎えています。拡大する格差と貧困の拡がり・・・3年におよんだコロナの時代はこの傷を更に深いものにしました。
地域社会の崩壊が語られ地域社会の基礎単位である家族さえもが揺らぎ始めた現代社会に、この作品は人と人とが信じ合い心をつなぐ素晴らしさを大きな感動と共に全国に語ってくれると思うのです。
「ぼくが生きてる、ふたつの世界」は、劇場上映終了後私たちの手で多くの方々の胸に届けられます。
by cinema-tohoku
| 2024-09-28 15:30
| 映画
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