立 冬
酷暑の連続にあえいでいたあの日もどこへやら、季節は確実に巡っていました。
そして今日は立冬、暦の上では冬を迎えたこの日に、東北自動車道をたどって、弘前から八戸への出張に発ちました。
仙台を出発して2時間ほど走って盛岡を過ぎた辺りに、これまでの単調な風景の東北道とは打って変わった私の好きなコースが姿を現します。
<ナナカマドロード>と名付けられた50㎞ほどのコースです。
秋になれば、路側に植えられたナナカマドの実が赤く色づいて季節の移り変わりを告げ、車窓の左側に突然現れる岩手山の圧倒的な存在感は、不思議に私の心を穏やかにさせてくれるのです。
そして、前方に拡がる八幡平のたおやかな山並はもはや茶一色にその色を変えて私を迎えてくれました。
掲げられた温度表示は3度を示し、ここ北の大地は晩秋から冬へと季節を進めていました。
一昨日、甲府で開催された「荒野に希望の灯をともす」上映会には800名もの方々が足を運んで下さり、会場を包んだ観客の方々の熱気は、人と人とが支え合う社会の実現を熱く語っていました。
認知症をテーマに豊かな<共生社会>を願う「オレンジ・ランプ」は、一歩一歩その上映の輪を全国へと拡げ始めました。
季節の移り変わりを前にして、私もいつまでも立ち止まらず、前へと歩みをおこさなければ・・・。
そんな思いに身をゆだねながら、いつの間にか車窓には津軽の象徴たる岩木山の秀麗な姿が現れていました。
間もなく白一色に染まる北の地の、僅かな輝きの時を駆け巡った二日間の旅でした。
by cinema-tohoku
| 2023-11-16 16:28
| 旅と出会い
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