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        12年目の3.11

 12年目の3.11の日を出張先の東京で迎えました。
 冷たい北風が吹いていたあの時とは打って変わって、春らんまんを思わせるやわらかな陽ざしが降り注いでいます。
 被災地では、いまだに3万人の人々が避難生活を強いられているのですが、12年の時の流れは人々の記憶からあの大惨禍を消し去ってしまうには十分なものであることを街を行き交う人たちの笑顔に感じながら、今日の午前の目的地逗子へ・・・。
 カバンの中に携えた作品は「荒野に希望の灯をともす」、アフガニスタンで献身的な支援活動を続けて来た中村哲さんの足跡を描いた記録映画です。
 この作品の配給が決まってから3ヶ月が経ちましたが、寄せられる反響の大きさに驚かされていました。
 毎日、まさに毎日なのですが、全国から上映をのぞむお声が数件、時には十数件寄せられて来ているのです。
 映画の仕事に携わってから50数年、こんな反響の作品に巡り合ったのは初めてのこと。
 中村哲さんがその生涯をかけて刻んで来た足跡が、時代の閉塞感さえ感じられている現代社会に、人の幸せへの道を照らす灯となって輝いている証しなのだと思っていました。
 逗子の喫茶店で上映の打合せを終えて逗子駅へ・・・そこで目に入ったのは、駅前で東日本大震災からの復興を願う献花を呼び掛ける市民団体のテントでした。
 12年経っても、皆忘れてしまった訳ではなかった・・・。
 そんな思いに胸を熱くして、午後の目的地町田へ。
 ここでは「荒野に希望の灯をともす」の上映に立ち上がった、上映の経験も組織もない一人の29歳の女性の願いに賛同が拡がり、第一回目の上映実行委員会が開かれていました。
 会議が始まり、時計が14時46分の“あの時”を刻んだ時、会議にご参加の方々は、誰言うともなくこうべを垂れた黙とうであの時をしのんで下さったのでした。
 そしてこの日の夜に行われた練馬での「あの日のオルガン」の実行委員会発足に向けた試写会で忙しく走り回った記念の一日を終えたのでした。
 3年のコロナ禍ですっかりナマッテしまった老体に鞭打ちながら、それでも思いがけずに触れた”人の情„に心を熱くした一日でした。
 啓蟄も過ぎた今、長かったトンネルから私も這い出さなければ・・・。
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逗子駅前には、献花を訴えるテントが


by cinema-tohoku | 2023-03-14 16:59 | 映画 | Comments(0)