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        初夏の津軽路

 「梅切らぬバカ」青森県上映の手当てで、毎週の週末、青森県に通い続けていました。
 この上映運動の中心を担ってくれたのは「青森県自閉症協会」の方々で、自閉症の子どもを持つ親の方々でつくられた団体です。
 障害をもって生まれて来た子どもたちを育てながらのこれまでの足跡・・・さぞかしご苦労があったことと思うのですが、皆様とても明るく積極的で、この上映にも〝障害に対する差別も偏見もない地域社会をつくりたい〟、そんな思いで立ち上がって下さいました。
 こんな方々の一生懸命な思いと向かい合って、どのように展開をしたらこの上映を成功に導くことが出来るのか・・・しばしの検討の結果、行き着いたのは<スローシネマ上映方式>でした。
 この上映の仕組みは、以前全国上映を大成功させた「じんじん」の折に、完全に体系化された上映運動の進め方で、一人の実行委員の回りに試写会も活用しながら多くの<上映賛同者>を拡大して、そんな人と人とのネットワークの力で上映を成功させ様とする仕組みでした。
 大きな組織の裏付けもなく、地域での上映運動の経験もない方々が〝観せたい!〟この思い一つで上映を成功させるのには、この仕組みしかないと思ったのでした。
 しかしながら、この仕組みをご理解いただき、上映運動をその軌道に乗せるためには、ていねいな、そして回を重ねたご相談の積み重ねが要求されるもので、そのための毎週の出張となったのでした。
 青森県に通い始めた頃は、まだ冬の名残の厳しい北風が吹く頃でしたが、そんな北の地にもいつの間にか甘い香りの薄紅色のリンゴの花が咲き、そして今、津軽の地は春真っ盛りの時を迎えていました。
 こんな今、自閉症協会の方々と一緒に種をまいた「梅」の生命は、秋にはきっと、たわわな実を実らせることと思います。
 弘前での会議が終わり、宿をとった青森へ…夕食前の一時を利用して青森港を散歩していた時、夕闇迫る海を渡って私の耳に届いたのは、青森の夏を代表するまつり<ねぶた祭>のお囃子を練習する笛と太鼓の音でした。
 コロナ禍で2年連続中止に追い込まれていた夏の祭りが今年は開催の予定・・・それを待ち望んだ市民が奏でるねぶたばやしの音は、コロナを乗り越えたよろこびを謳う様でもありました。
 そろそろ私も立ち上がらなければ・・・そんな思いを胸に抱いた初夏の津軽路でした。
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津軽の象徴、岩木山

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夕刻の青森港



by cinema-tohoku | 2022-06-01 10:03 | 映画 | Comments(0)