11年目
東日本大震災の大惨禍から、数えて11年の時間が流れていました。
ことしの<3・11>は、厳しかった寒さもやっとゆるみ、春の訪れを思わせる様なおだやかな風が吹き抜ける仙台で迎えました。
私にとって、この日は何度繰り返しても、その記憶が薄れることはありませんでした。
東京で巡り合ったあの瞬間のこと・・・騒然とした都内を歩いて、友人の会社の事務所に向かった時の情景・・・一晩中まんじりともしないで、刻々の被害を伝えるテレビの画面に見入っていた私・・・明けた朝の空の青さ・・・そして、2週間後やっと東北に戻った私を迎えた石巻の惨状・・・。
11年の時間が流れても、あの日の情景はその細部にまでも、ありありと私の記憶に刻まれているのです。
まるであの日のあの時間に立ち戻った様に・・・。
それでも、その後の社会のあまりのめまぐるしさは、人の記憶からあの日のことを日々遠いものにしています。
でも、せめてもこの日だけは、被災地に思いを寄せて欲しいと切に願うのです。
廃炉の道さえ描けずにある福島第一原発のことを、そしていまだに避難生活を強いられている3800万人余の人たちの願いを・・・。
今、報道はロシアによるウクライナ侵略の一色に塗りつぶされています。
あの日、数多くのかけがえのない命との別れを強いられた私たち被災地の人々は、それだからこそ命の尊さを深く胸に刻みました。
自然災害ではなく、人の手と意思による戦争で多くの命が奪われている無残な映像は、そんな私たちを堪えられない思いにさせているのです。
3月11日に在日ウクライナ大使館から、一本の追悼メッセージが寄せられました。
〝東日本大震災から11年の今日、亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、その家族や被災された方々に、心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。〟と。
被災地からも、ウクライナに熱いメッセージを送りたいものです。
〝ウクライナに、そして世界に平和を!〟
by cinema-tohoku
| 2022-03-15 17:05
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