長崎の夜
昨日は福岡で県組織立ち上げのための相談会が、そして今日は熊本での話し合いに参加して、その夜は長崎へ・・・。
長崎県では、この上映運動スタートの第一歩として、<「あの日のオルガン」を応援する長崎のつどい>を準備して私を迎えて下さいました。
私も、この作品の市民プロデュ―サーの拡大を願って、これまでにずい分各地を巡って多くの方々とお会いして参りましたが、この映画に描かれる「疎開保育」の史実については、ほとんど知られていなかったことを実感していました。
長崎では、全県に拡がる上映運動を展開するにあたって、先ずはこの貴重な史実を知っていただくことから、その第一歩を踏み出そうと計画された、この夜の会でした。
準備されたこの会は、ご多忙のお時間を調整してご参加いただいた、何と40名に上る方々を会場にお迎えして開会となりました。
会の第一部は、疎開前の戸越保育所の保育の姿を描いた記録映画「ある保母の記録」の上映… 戦争の遂行に狂奔していたあの時代に展開された、子どもたちと向かい合った保育の姿に、そしてそこからにじみ出る製作者の平和への願いは参加者の胸を打ったのでした。
そして、第二部はご指名されて、私のこの作品に寄せる思いと、疎開保育の歴史にしばしお耳を傾けていただきました。
あの困難だった戦火の時代に、子どもたちと向かい合って、その命を守った若き保母たちの姿は、ご参加者の胸を打ち、長崎の夜は更けて行ったのでした。
それにしても昨今の社会状況・・・たった五年しか生きることの出来なかった幼い女の子の命…、世間では公然と〝嘘〟や人への野蛮なののしりの言葉が語られ、拝金主義がまかり通る社会…。
小説家の高村薫氏が〝まるで文明社会の終焉のような・・・〟と語るこの時代に、この作品は「子どもの命と平和」を願って生まれようとしています。
その重大な役割を実感させもした長崎の夜でした。

