「小さな園の大きな奇跡」
先日東京出張の折、時間を見つけて一本の映画を観ました。
今、一本の映画製作の企画を私の胸に暖めていまして、その関わりで観ておこうと思ったからでした。
2015年、香港映画興行収入No1.に輝いた実話にもとづいたドラマ。
資金不足で先生が一人も居なくなり、5人の園児が取り残された香港郊外の幼稚園の園長を、信じられない薄給で引き受けた一人の女性・・・。
それでも彼女の子どもたちに寄せる「教師」としてのこころは、子どもたちを、そしてその親たちの心をもつかみ、廃園寸前だった幼稚園を見事に再生させた、まるでおとぎ話の様な奇跡の物語でした。
主人公が、困難を承知で園長を引き受けるくだりには若干の無理がありながら、そんなことはいつの間にか忘れさせる心地良いテンポでドラマは進み、そして大団円に・・・。
観終わった私の胸には幸せな感動が残ったのでした。
香港映画なのに、派手なバトルもアクションもなく、ひたすら子どもたちの夢を叶えようとする大人達と、その愛情をしっかりと受け止め、自らの未来に向けて成長しようとする子どもたちの姿に、久し振りにたっぷりと涙を流した1時間52分でした。
統計を取り始めてから24年、毎年右肩上がりで増え続ける「児童虐待」の実相・・・。
横浜で明らかになった、福島から避難生活を送る子どもに浴びせられた不当な“いじめ”と、それを放置した学校の対応のおぞましさ・・・。
日本での子どもたちを取り巻く実態に日々触れ、何とも暗澹たる思いにさせられていた私の胸を、この映画はさわやかな一陣の風となって吹き抜けたのでした。
全ての子どもたちに限りない「夢」と「未来」を願う風となって・・・。
それにしてもこの映画に登場する子どもたちの“演技”の素晴らしさ・・・。
撮影当時は4才と5才だった子どもたちが繰りひろげる“名演技”にはまさに脱帽の思いでした。
“子どもと動物に勝る名優はいない”と語られますがまさにその通りの一作。