映画づくりの「きっかけ」
一本の映画の製作企画を立ち上げ、それを完成に導き、そして更には全国公開を実現して多くの方々にご覧いただく...。
この一連の流れの中には、とても長い時間と数多くの方々の手が必要ですし、更には乗り越えなければならないいくつもの困難な課題もあるのです。
それなのに、そんな数々の困難を予想しながらも、今又一本、新たな映画の製作の準備を始めていました。
以前のブログでご紹介しました「君の笑顔に会いたくて」(仮題)がそれです。
何故に数々の困難が予想されているのに、又新たな映画製作に立ち上がろうとするのか...。
振り返ってみるとその原点は、このテーマを...この事実を...この人を...何としても映像化して多くの方々の胸にお届けしたい...そんな映画製作の「きっかけ」となった思いが私の胸を揺り動かしたからなのかも知れません。
そして今度の作品の「きっかけ」は、映画の原作者であり、モデルでもある宮城県名取市在住の保護司大沼えり子さんとお会いしたことからの始まりでありました。
大沼さんは2001年保護司になりました。
そして、この年の少年院の参観で、少年たちがその更生に向かおうとする姿に触れ、大きな感銘を受けたのでした。
彼らのために何かしなければ...、そう思った大沼さんは、以前経験のあったDJ番組を製作し、施設の中の少年達に「こころからこころへのプレゼント」として届けることを決意したのでした。
そんな彼女の思いは、幸い多くの方々の共感となり、それ以来毎月一時間の番組を、15年にもわたって東北・北海道の3少年院に送り届けて来ました。
そのかたわら、彼女は保護司として、少年院を仮退院した子どもたちの社会での自立にも精一杯の援助の手を差し伸べて来ました。
そして子どもたちは、彼女の温かい手に支えられながら、それぞれの未来に向けて新たな旅立ちを果たして行ったのでした。
時代の閉塞感が語られ、たくさんの子どもたちがその道を失ってしまった様な現代社会に、大沼さんが、そしてたくさんの保護司さんたちが、そんな子どもたちを受け入れ、支えている姿に触れた時、いかなる困難があってもこの映画化を実現し、全国の方々の胸にお届けしたい...そんな思いにさせられたのでした。
人が人として生きることの出来る...そして、一切の差別も偏見もない社会を作り上げるために...。
こんな私たちの願いは、一本の映画となって来年初夏、その命を授かることになりそうです。
