「ちえりとチェリー」と子どもたち
その一ヶ所一ヶ所には、子どもたちの健やかな未来を願う住民の方々の思いの結晶と、数々のドラマがあったのですが、そのひとつに宮城県栗原市の上映がありました。
本年2月、上映実現の願いを携えて市役所を訪問した私達の思いを、栗原市長さんは熱く受け止めて、上映実現をお約束して下さいました。
そして、市のご担当課が中心になって実施方法についての検討が加えられ、栗原市が選んだ上映方法は、市内の小学校1年生から4年生1,600名の全員鑑賞を実現し、子どもたちの心に命の輝きを灯そうとの方針でした。
そして、先日その上映会が開かれ私も行って来ました。
会場となった栗原市文化会館には、市内各所から子どもたちを乗せたバスが次々と到着し、会場は約700名の子どもたちでいっぱいに埋まりました。
何せ元気いっぱいの子どもたち…しかも、授業が消えて映画鑑賞になったことへの浮き立つ様な思いもあって、上映前の会場の騒がしさは見事と云いかえてもよい程のものでした。
そして、時は回り上映開始の時間に…。
会場の客電が落ちるや、わくわくする映画への期待の表れか、一斉に大歓声が…。
しかしながら、上映が始まるや、こんな子どもたちの反応は見事なまでに一変、会場は一転して水を打った様な静寂に包まれ、子どもたちは、スクリーンに繰り広げられるちえりの冒険を食い入る様にして見つめ、映画はそのままエンドを迎えたのでした。
派手なバトルも、下品なギャグもない…ちえりたちが精一杯の思いを込めて「命の輝き」を見つめる54分のドラマを、栗原の子どもたちは、時には涙もぬぐいながら受け止めてくれたのでした。
子どもたちの心の成長の危機が語られている今、この映画鑑賞会を通して子どもたちは、見事なまでの「感性」のきらめきを私に示してくれました。
子どもたちの健やかな未来を巡って今問われている最大の問題点は、実は子どもたちの側にあるのではなく、この素晴らしい「感性」に何を伝えるのか…まさに課題は私達大人の側にあることもこの上映会は見事に語ってくれたのです。
この映画に触れた全ての子どもたちの胸に、この作品の感動が生涯の記憶として残り、自らの心に「命の輝き」を育てる力となることを心から願った雨の栗原市の一日でした。