西村滋先生
西村滋先生...私たちが製作を手がけた映画「エクレール・お菓子放浪記」の原作者西村滋先生が21日、91年の平和を求めて歩み続けた長い旅を終え、その人生の幕を静かに閉じられました。
以前からお体の調子が今ひとつ...とはお聞きしていましたが、朝開いた新聞紙面に先生の訃報を目にし、信じられぬ思いで先生のお仲間の方にお電話、最後のご様子をお聞きするや、先生のおやさしいお顔が目の前に浮かび思わず落涙、遠く仙台から西村先生のご冥福をお祈り致しました。
私が初めて西村先生とお会いしたのは今から何年前のことだったでしょうか。
静岡駅前のホテルにおいでになった先生は、特徴的な“三日月”の如きお顔に満面の笑みを浮かべて映画化の企画を喜んで下さいました。
そしてそれ以降、西村先生は幾度にもわたってやさしい手のぬくもりで私を支えて下さいました。
これまで先生が歩んでこられた道には、語りつくせないほどの困難があった筈なのに、先生はそのことはおくびにも出さずに、おやさしい目を細めて私を見守って下さいました。
西村先生との出会いと、心やさしきその支えがなければ、震災以降の困難に私は崩れ落ちてしまっていたのではないかと今思えるのです。
昭和の戦火の時代を生き抜いた西村先生がその生涯をかけて願ったものは「平和」でした。
今、西村先生のお顔を胸の中に思い浮かべながら、先生がかかげた「平和」のバトンを受け継ぐ決意をそのお姿に語りかけたのでした。
これまでの長い長い道...ご苦労さまでした...今はただ...安らかにお眠り下さい...合掌