「二十四の瞳」と平和への願い

それを今計るすべはありませんが、ここに至るまで数々の映画を通して自らの心を育んできたことを実感しています。
そんな数々の作品の中で一番私の心に残っている作品をあえてあげるなら、それは「二十四の瞳」なのです。
小学生の時、先生が学年全員を引率して街の映画館で観せてくれた時の感動を今でもありありと思い出すことが出来ます。
子どもたちのいたずらで足を怪我し、学校を休んでいた大石先生に会いたい一心で、遠い道のりを大石先生の家に泣きながら向かう子どもたちの姿に涙…、そしてラストシーン、戦争で失明した磯吉が小学生の頃の記念写真を指でたどる姿に又又涙…。
とにかく数々の感動で胸が熱く満たされたことを、今でもありありと思い出します。
しかしながら、改めてこの作品の概要を振り返ってびっくりさせられました。
この作品の公開年はなんと1954年、おそらくこの年に私が観たのだとするなら私たちは当時小学一年生、又この作品はなんと156分におよぶ長尺の作品、そして何より、木下惠介監督渾身の思いを込めた「平和」へのメッセージが込められた作品なのでした。
あの頃の先生たちはきっと、本当に素晴らしい作品は、たとえ学齢が低くとも子どもたちの胸に届くことを信じて、確信を持って私たちと向かい合っていましたし、又そんな先生たちの思いを受け止め、いつまでも続く平和への願いをしっかりと胸に刻み付けた私たちでもありました。
何と大らかな、そして信頼に満ちあふれたあの時代の中に、心を成長させていた私たちでありました。
このブログを書いている今日は、7月15日です。
先ほど国会の委員会で安保関連法案の強行採決が行われた…との報に接して暗澹たる思いにさせられています。
何と憲法違反の声さえ無視して、日本を再度戦争の出来る国に変えようとする現政権のありようには強い危惧の念を抱かざるを得ません。
戦後の民主主義の時代に育ち、数々の映画を通して「平和の尊さ」を心に刻んで来たのですから…。
