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旅…そして又旅…

 仙台を発って今日で七日目を数えました。

 又、長い旅が始まった様です。

 私には2つの仕事があります。

 一つはシネマとうほくの社長として、シネマとうほくの健全な運営を計る仕事、そしてもう一つがJSNの理事長として、全国配給をお引き受けした作品の全国上映を成功させ、映画製作者への配給としての責任を果たす仕事です。

 そんなJSNの仕事が、又私を長い長い旅に送り出した様です。

 2011311日の大惨禍が、それまでの私の仕事を大きく変えてしまいました。

 あの時私は「エクレール・お菓子放浪記」を完成させていました。

 心を込めて製作したこの作品は20112月無事にこの世に生を授かり、その全国上映開始の直前でした。

 殊にこの作品の舞台となった宮城県そして東北各県では上映の準備も整い、まさに発信の合図を待つばかりになっていました。

 そこに押し寄せた巨大な波の壁はこの東北の上映の全てを破壊し、その後の私の人生も大きく変えてしまった様でした。

 東北での上映は到底不可能となり、被災地に呆然と立ち止まっていた私たちは、それでも大きな決意を込めて立ち上がりました。

 東北での上映が叶わなくなっても、東北被災地の心とそれへのご支援を語りながらこの作品を全国にお届けしようと…。

 それ以来、私の全国行脚の旅は始まったのでした。

 来る日も来る日も全国を巡る旅は果てしなく続き、その総距離数は果たして何kmを数えたのでしょうか。

 まるで非業の死を遂げた方々の虚しさを背負っている様に、私の背は鉄板の様にパンパンに張っていました。

 それでも有難いことに「エクレール・お菓子放浪記」に込めた被災地支援の心は確実に一歩一歩拡がり、結果としてこの作品は公開から2年かけて全国47都道府県820ヶ所45万人観客の心の輪となってつながることになったのでした。

 そして、これに引き続いて全国配給の仕事をお引き受けすることになったのが「じんじん」でした。

 大地康雄さんの熱い思いに感動した札幌に会社を置くプリズムのF社長からのこれも熱いご要請を受けてのことでした。

 プリズムのF社長とは以前から親交があり、彼のビジネスに向かう姿勢には感銘も致しておりました。

 そんな彼からの要請でありました“なんとかこの作品の全国配給を引き受けて欲しい。鳥居さんが引き受けてくれるなら、映画製作を決意すると...”彼の熱意に押し出される様にして全国配給をお引き受けし、「じんじん」を携えて全国への旅は、間をおかず又始まったのでした。

 今振り返って見るなら、この旅の毎日は「エクレール・お菓子放浪記」の時よりも過酷なものでありました。

 仙台の我が家を発っての旅は、10泊をそして12泊を数えてゆきました。

 いささかの喜びと、そしてそれを上回る程の落胆と日々一人で向かい合いながら、やっと一日の仕事を終え、旅先の居酒屋のカウンターで一人盃を傾けながら自らをなぐさめてため息をつく…。

 そんな毎日をよくも無事に走り抜けて来たものでした。

 幸い「じんじん」は今、完成から三年を数え、その上映は500ヶ所、観客は20万人を超えるところにまで育って来ました。

 いずれの作品もまさに我が手で育てあげた大切な子どもでもありました。

そして、こんな私の動きはいつの間にか全国同じ志をもった配給会社の共感となり、昨年、この思いを一つに合わせて「JSN」が発足することになったのでした。

 そして又、長い旅の毎日が始まりました…。

私たちが掲げるスローシネマによる全国配給は、つくり手、配給社、そして上映に立ち上がった方々の思いを一つに結んで完結するものです。

製作者の思いを地域の方々にしっかりとお伝えし、そしてその作品の上映が地域の未来に拓く夢も語り、それを受けて地域の方々に上映実現に向けて立ち上がっていただいて、初めて上映は実現していくのです。

 各市町村に足を運びそんな思いを直接お伝えしなければ…。

 いつか開く心やさしき国の未来を願っての長い長い私の旅は、まだまだその先に続いている様です。



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大山町への駅- 御来屋駅


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早朝の鳥取市街





by cinema-tohoku | 2015-06-25 13:27 | 旅と出会い | Comments(0)