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アンズの里


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千曲市...長野県北部に位置し、島崎藤村が「千曲川旅情の歌」にうたった清流千曲川が町の中を流れる、とても心安らぐ町です。

そんな町に昨夜は、心を込めて「じんじん」上映に取り組んで下さった、心やさしき方々が集い、しばしの反省会に楽しい話の花をさかせていました。

この町の上映は、二人の市民の思いから始まりました。

お一人は、古くから市中心部で書店を営んでらっしゃった店主さん、そしてもうお一人は、とてもお元気な女性市議の方でした。

お二人は、別々の場での試写会で「じんじん」をご覧になり、大感激!何とか千曲市での上映の実現を...そんな熱い思いで私に連絡をとって下さいました。

それでは一緒にお会いして上映のご相談を、と設定された初めての打ち合わせには4人の市民の方々がお集まりになりました。

この映画を一人でも多くの千曲市民にお伝えしたい...熱い思いはありながら、もちろんのこと映画を上映した経験など皆無の4人...不安な思いで私を見つめる皆様方に私は、こんな上映運動をご提案したのでした。


これまで、いわゆる「上映実行委員会」をつくろうとした時、しごく当然のようにどんな組織にお声をかけようか...こんな発想からその動きが始まるのが一般的でした。

しかしながら、組織と組織との上映運動となるなら、そこには「大人の判断」としてのバランスや、その組織に対する好悪の感情など、本来の上映の意義とはかけ離れた考えが優先して実行委員会づくりが語られてきました。

しかしながらこの作品のテーマは「地域社会と家族の再生」、このテーマはそれぞれのよって立つお立場をこえて共有できる普遍性をもったテーマではないか。

とするなら、組織や肩書きよらずに“一人でも多くの方々にお伝えしたい...”この一点で、個人の資格で手を結んだ上映運動を展開してみては...。

こんな「個人結集型」の上映運動をご提案したのでした。


最初はいささかの不安と戸惑いをにじませていらっしゃいましたが、上映までの道筋をお話しすることでご納得、市民がその手を横に携えた上映運動は始まったのでした。

まず第一歩は、実行委員会づくりのための試写会でした。

4人の方々が、周りのお仲間にお声をかけ観ていただいて、その上でご賛同いただけるなら、このお一人お一人が手をつないだ実行委員会をスタートさせよう...そんな思いで開いた「先ずもっての試写会」には30人程の市民の方々がおいでになりました。

上映終了後の話し合いでは交々に感動の声が語られ、上映実行委員会の発足へとつながっていったのでした。

そして、実行委員会が発足し、その最大の活動として取り組んだのが、「もっとおおきな試写会」の実現についてでした。

30人の実行委員が、又それぞれお一人お一人の周りの友人知人にお声をかけて試写会にご参加いただこう、そしてご覧になった上で上映の成功にご賛同いただけるなら、この方々に前売券をお預かり(買い取りではなく余った券は返す)いただき上映成功をめざそう...。

こんな願いで開催した試写会には200人の方々がご参加、前売券はこの方々の手にゆだねられ市内に大きく拡がって行ったのでした。

そして迎えた上映会には800人にのぼる市民の方々がご参加になり、上映は大成功のうちに幕を閉じたのでした。

ひたすらに、そのよって立つお立場の違いを強調するのではなく、それぞれの違いを前提にしながらも、お互いの一致するところでつながろうとした千曲市上映の成功は、民主主義の本来あるべき姿も語ってくれたのではないかと思えるのです。

心やさしき方々の明るい、そして確信に満ちた笑い声は「アンズの里」に夜更けるまで響いていたました。


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反省会の一コマ



by cinema-tohoku | 2015-06-04 10:20 | 旅と出会い | Comments(0)