「ちえりとチェリー」石巻から発信
アニメーション制作会社フロンティアワークスの方々が一本の作品と被災地支援の熱い思いを持って私を訪ねてきたのは、あの大惨禍から間もなく4年を迎えようとしていた2014年9月のことでした。
その作品は「ちえりとチェリー」。
揺れ動く少女の心と、そこからの自立を見事な技術で描いた人形アニメーション映画でした。
この作品の制作に向けた動きが始まったのは今から5年前、子どもたちの健やかな心の成長が危惧される現代に子どもたちの未来を願ってこの作品は企画されたのでした。
そして、その製作準備に入っていた時に起きたのがあの大惨禍でした。
被災地から伝えられる悲惨な映像に監督始め製作スタッフ一同は大きなショックを受け、これから製作するこの作品が東日本大震災と無縁であってはいけない…そんな思いで作品は再び構成されていったのでした。そして生まれたこの作品を、東日本大震災の復興に役立てて欲しい…、そんな思いを彼らは私に熱く熱く語ったのでした。
拝見した作品は、素晴らしい完成度で見事なメッセージを語っていました。
生命の輝きを見つめながら、その未来に向けて歩みだす子どもの心の自立を…。
JSNとしての配給をお引き受けし、「ちえりとチェリー」公開の夢は幾度かの議論の中から浮かび上がってきました。
大きなテーマは「被災地の心の自立」と「変わらず被災地を支える全国の心」、あの日から4年を数える本年3月、被災地から全国に向けたこのテーマの発信上映会を行い、その呼びかけに応えていただき、明年3月までに全国500ヶ所の上映をつなごうとする大きな大きな夢は描かれていきました。
そして迎えた発信上映会は、間もなくあの日から4年を迎えようとする石巻市で3月8日に行われたのでした。
極めて短い準備期間にも関わらず、当日は350名の親と子どもたちが会場を訪れてくれました。
この上映準備にあたった石巻の子どもたちからの全国上映成功に向けたメッセージが舞台から語られ、そして始まった全国初の「ちえりとチェリー」の上映はまさに感動的な上映会となりました。
「チェリー」が自らの生命と引き換えにして、新たな生命を守ろうとするシーンでは多くの観客が涙をぬぐい、更に会場には号泣する子どもたちの声が響き、上映会場は大きな感動に包まれたのでした。
被災地にとって「真の心の自立」が求められる今、この作品は石巻の子どもたちの心にこんな願いを見事に語ってくれたのかも知れません。
「ちえりとチェリー」の全国上映成功への願いは被災地石巻から発信されました。
どうぞこの手に皆様方の手をつないでいただき、全国に拡がる大きな心の輪に作り上げていってほしいのです…。