「男らしさ」と「潔さ」

 東北初の映画「健さん」の試写会を19日、仙台市内で開きました。

 日頃、シネマとうほくが、お世話になっている方々にまずはご覧いただき、その素直な感想をお聞きすることから事を始めてみようと思ったからでした。

 まさに探る様な思いで開いた試写会、その反響は幸い、熱く大きいものでありました。

 上映終了後、交々に語られた映画への熱い思いは、83年、ひたすらに人に対して誠実に、そして愚直に生き抜いた、高倉健さんの一人の男としての生き様が、そのままの形で観る者の胸に伝わった結果でもあったのだと思いました。

 そして、以前のブログでも触れました「エクレール・お菓子放浪記」の原作者西村滋先生がその一生をかけて語ろうとした「平和」への思いと、自らの人生を閉じるにあたってご手配された心やさしきお心配り…。

 ともすれば社会の劣化が語られる現代社会に、このお二人が残した足跡から私は「男らしさ」と「潔さ」を痛切に感じることになりました。

 ひるがえって、今朝のニュースでは、都知事が無言と無表情をつらぬきながら都庁を後にした映像が…。

 あれほど饒舌に内容の全くない言い訳を語っていたこの方が、一転して無言で都庁を去ったそのあとに残された言葉は、ニューヨーク・タイムズにも語られた「sekoi」の一言。

 何とも暗澹たる思いにさせられたこの間の一連の騒動…。

 そして、そんな彼の姿は、その対局にある最近私が触れた二人の男の姿と重ねて、そのお二人の生き方をより一層際立たせてくれたのでした。

 西村先生が残した人に寄せる限りない愛と、「平和」へのメッセージを、そして映画「健さん」が語る一人の男の誠実な生き様を…。

 伝えてゆきたいのです…。

 今だからこそ…。

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健さん

西村先生






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# by cinema-tohoku | 2016-06-21 17:05 | 映画 | Comments(0)


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 「健さん」・・・こんな題名のドキュメンタリー映画が完成、先日関係者向けの試写会がありました。

 日本人なら誰ひとり知らぬ者はない・・・日本映画をまさに代表する名優高倉健さんを描いた初のドキュメンタリー映画です。

製作関係者から、映画製作にあたっては数々の困難な条件があったとお聞きしておりましたので、いささかの不安をかかえながらのスクリーンとの向かい合いでしたが、映画が始まるやたちまちのうちにスクリーンに吸い寄せられ、作品がエンドを打った時には熱い感動が私の胸をいっぱいにしていました。

 「高齢化社会」が語られています。

 この言葉が語られる時、いささかザラツイた思いにさせられるのは、この言葉の背景にある思いが見え隠れするからなのかも知れません。

 “高齢者が増えて国家財政は困難に陥っている・・・まことに困ったものだ・・・”と。

 ともすると「高齢化社会」は社会の負の要因として語られているのが通例なのではないでしょうか。

 しかし、本来高齢者達は、今日の日本の社会を作り上げてきた貢献者であり、その内にはいまだ大きな知恵も力も備わっています。

 そう考えた時、本来あり得べき「高齢化社会」は、高齢者がその最後の瞬間まで自らの力を発揮し、精一杯に社会と向かい合って生きることなのではないかと思えるのです。

 そしてそう思った時、高倉健は、その最後の時まで背筋をのばして時代と向かい合い、美しく生き抜いた一人の高齢者たる日本人であったことに気付かされたのでした。

この作品を見終わった私は、天国から健さんが“ガンバリましょうよ!”こんな声と共に私の背をやさしくたたいてくれた・・・そんな思いにさせられたのでした。

 無思想な、そして垂れ流しの様な映画がスクリーンを占めている日本映画の現状・・・。

 久しぶりに熱い映画に触れ、思わず胸がいっぱいになった「健さん」との出会いでした。


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# by cinema-tohoku | 2016-06-07 12:05 | 映画 | Comments(0)


 

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 27日夜、京都の出張から戻り、翌日の準備のため事務所に寄りました。

 点灯した事務所の蛍光灯に浮かび上がる机の上に一枚のハガキ...。

 私に宛てた宛名の文字は、何と忘れもしない西村先生の直筆の文字!

 裏にはこんなご挨拶が...。



  生きる よろこびを

  食べさせていただきました

  みなさんの友情を おいしく頂きました

  ありがとう さようなら



 そして先生がお亡くなりになられた2016521日の日付が記されていました。

 自らの最後を知って、ここまでの気配りをされていた西村先生...。

 何と見事な、そして心やさしい旅立ちでありましたことか...。

 それにしても、大変なお体をおしてこのハガキをお書きになられた西村先生のお心を思い、涙があふれるのを抑えることは出来ませんでした。

 日本人の「劣化」が語られ、日々の信じがたい報道に晒されていた私に、まるで天国から送られてきた様なこのハガキは、最後の瞬間まで誠実に、そして必死に自らの道を歩み通した一人の男の見事な生き様を私に語ってくれたのでした。

 西村先生...短い間でしたが、差し伸べていただきました数々のやさしさ、本当にありがとうございました...。

 私はもうしばらくこの世で奮闘して見ようと思っています。

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西村先生の役を演じた吉井一肇くん



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# by cinema-tohoku | 2016-05-31 10:46 | その他 | Comments(0)


 西村滋先生...私たちが製作を手がけた映画「エクレール・お菓子放浪記」の原作者西村滋先生が21日、91年の平和を求めて歩み続けた長い旅を終え、その人生の幕を静かに閉じられました。

 以前からお体の調子が今ひとつ...とはお聞きしていましたが、朝開いた新聞紙面に先生の訃報を目にし、信じられぬ思いで先生のお仲間の方にお電話、最後のご様子をお聞きするや、先生のおやさしいお顔が目の前に浮かび思わず落涙、遠く仙台から西村先生のご冥福をお祈り致しました。

 私が初めて西村先生とお会いしたのは今から何年前のことだったでしょうか。

 静岡駅前のホテルにおいでになった先生は、特徴的な“三日月”の如きお顔に満面の笑みを浮かべて映画化の企画を喜んで下さいました。

 そしてそれ以降、西村先生は幾度にもわたってやさしい手のぬくもりで私を支えて下さいました。

 これまで先生が歩んでこられた道には、語りつくせないほどの困難があった筈なのに、先生はそのことはおくびにも出さずに、おやさしい目を細めて私を見守って下さいました。

 西村先生との出会いと、心やさしきその支えがなければ、震災以降の困難に私は崩れ落ちてしまっていたのではないかと今思えるのです。

 昭和の戦火の時代を生き抜いた西村先生がその生涯をかけて願ったものは「平和」でした。

 今、西村先生のお顔を胸の中に思い浮かべながら、先生がかかげた「平和」のバトンを受け継ぐ決意をそのお姿に語りかけたのでした。

 これまでの長い長い道...ご苦労さまでした...今はただ...安らかにお眠り下さい...合掌

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石巻で行われた撮影には、お仲間の方々とバス一台でおいでいただきました。



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# by cinema-tohoku | 2016-05-27 11:19 | Comments(0)

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c川口雅幸/アルファポリス・東映アニメーション

 「虹色ほたる」...こんな美しい題名のアニメーション映画が震災の翌年にあたる2012年に完成、全国公開がされていました。

 思いを込めて製作にあたったのは、これまでも数々の名作を世に送って来た日本アニメ界の老舗東映アニメーション。

 常には、「ワンピース」や「プリキュア」等、東映番線にのせるアニメを製作していましたが、日本にアニメーション文化の新たな地平を拓くべく、大きなそして誇り高い「志」を持ってこの作品の製作にあたったのでした。

 「ちえりとチェリー」の製作委員会のメンバーに加わったことがきっかけでお会いすることとなった東映アニメのA氏から、とにかく是非とも観て欲しい...、こんなご要望を受けて東映アニメの試写室でこの作品と出会うことになりました。

 今は亡き父との思い出を辿って訪れた、ダムの底に「沈んだ筈」の村...。

 そこで少年は、かけがえのない一ヶ月を過ごすこととなったのです。

 大きな、そして美しく輝く自然...心やさしき人々が織り成す地域コミュニティ...熱い友情...そして淡い恋...。

 日本はかくも美しい自然に彩られた国であったことを久しぶりに思い起こされる見事な美術表現の中にこの物語は語られて行きました。

 そして見終わった私の胸は、大きな感動に包まれたのでした。

 経済的な成長のみが語られ、人に対しての許容量も小さくなってしまったかの如き現代社会に生きる私に、この作品は一服の清涼剤となって、かつて私たちの国が持っていた数々の美しいものを私に語ってくれたのでした。

 終了後、A氏とプロデューサーのU氏と懇談となりました。

 この映画の製作にあたっては、あえてCGを排除し、全てを手作業の絵を連ねて作り上げたと...。

 作品の中に描かれる乱舞するホタルの表現さえもが...。

 久し振りに創り手たちの熱い思いの結晶に触れた思いで東映アニメを後にしたのでした。

 さて...いかにしてこの作品を多くの方々にお届け出来るか...そんな思いを頭に巡らせながら...。


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# by cinema-tohoku | 2016-05-18 09:43 | 映画 | Comments(1)