私たちが「じんじん」の製作を決意した時、私たちの前に解決しなければならない大きな課題がありました。

まもなく完成するこの作品を、どんな方法で多くの方々にお伝えするのか…、公開の仕組みを巡る課題でした。

戦後、日本映画は大きな変転の道をたどって来ました。1945年、日本は敗戦を迎えました。平和な、そして新たな民主主義の時代を迎えた国民はこぞって娯楽を求め始めました。そして、当時の国民の心を一番掴んだのは映画でした。映画は「大衆娯楽の王」とも語られ、映画館にはたくさんの観客が詰めかけました。そして小さな町にも村にもさえも映画館は次から次へと開館していったのでした。

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写真はイメージ 「エクレール・お菓子放浪記」にも登場した、石巻市の岡田劇場


私は当時小学生でしたが、たくさんの映画を観て自らの心を育ててゆきました。又、あの時代を振り返ってみると、不思議なことに、観た映画の記憶と共に誰と一緒に観たのかも思い出されるのです。あの当時の映画は産業としての隆盛を誇っていただけではなく、「地域コミュニティ」を語る上でも欠く事の出来ない要因ともなっていたのだと思われるのです。

しかしながらこんな映画の幸せな時代もいつまでも続くことはありませんでした。

その後登場したテレビの普及と娯楽の多様化の波は、映画界を長く暗い低迷の時代へと突き落としたのでした。年間を通した映画人口は全盛期の一割に減じ、映画館の閉館も相次ぎました。


・・・「スローシネマ②へ続く」


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# by cinema-tohoku | 2015-02-24 10:44 | 映画 | Comments(0)

私たちがこの3年間にわたって育てて来た心やさしき作品があります。

長編劇映画「じんじん」、数ある日本映画のなかでこんなにも幸せな映画はなかったのかも知れません。

そんな「じんじん」についていくつかのエピソードを語ってみたいと思います。

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この作品は今から7年前、俳優の大地康雄さんが北海道剣淵町を訪れたことから全てが始まりました。

大地康雄さん、お名前は知らずともほとんどの方々がそのお顔は知っているのでは…今の時代では得がたい個性的な素晴らしい役者さんですが、大地さんは一人の人間としてとても熱い心を持った方でした。

以前から大地さんは現代社会のありように大きな危惧の念をお持ちでした。地域社会の崩壊が語られ、いまや地域社会の基礎単位であるべき家族さえゆらぎ始め、それに起因する悲しい事件が毎日のように報じられるようになってしまった現代社会…。これでは日本がダメになってしまう…そんな危機感を大地さんは感じていたのでした。

そんな大地さんが訪れることになったのが北海道剣淵町でした。

剣淵町…、おそらくほとんどの方々がご存知ない町だとは思いますが、旭川市の北50km程に位置し、人口は3500名…とても、とても小さな農業の町です。

今から27年前、竹下内閣の時に「ふるさと創生一億円事業」が発表された折、剣淵町の若者たちは一つの提案を持って町長さんに面会を申し込みました。

“天から降ってわいたようなこのお金で、ハコモノをつくったり温泉を掘ったりではなく、わが町では「絵本のこころ」をテーマに、人と人の心が通い合う、そんな町をつくってみよう…“

こんな提案をしたのでした。

これを巡っては町内にいくつかの異論もありましたが、最終的に町長さんはその提案を受け入れて「絵本の里づくり事業」をスタートさせたのでした。そしてそれから27年、剣淵町の町民は「絵本のこころ」を大切に育み、見事に生活の中に定着させた素晴らしい町をつくりあげていたのでした。

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10年程前に完成した絵本に特化した図書館「絵本の館」を中心に展開される町民と絵本との触れ合い、そして町民の手による絵本の読み聞かせ...。この姿に触れた大地さんは体が震えるほどの感動を覚えた...とおっしゃいました。

絵本を通して通い合う人と人との心、絵本に聞き入る子供たちの目の輝き...。今の日本に欠けていて、そして一番なければならない「人のこころ」がここにある...。

そう思った大地さんはこの剣淵町をテーマに映画を作り上げ全国にお届けしたい...、そんな決意を胸の中に刻んだのでした。

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そして完成した作品は、人の手から手に、そして口から口へと語りつがれ、その上映の輪を拡げ、「地域社会と家族の再生」を願う声は全国500箇所20万観客を数えるまでにこの作品を育てあげたのでした。




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# by cinema-tohoku | 2015-02-06 13:41 | 映画 | Comments(0)

以前からこのページを立ち上げなければならないと思いながら、ついつい毎日の仕事に追われてここまで来しまいました。
それでも新年、一年の決意を語るべく腰をあげてこれから私の周りの数え切れない程の新しい出会いとドラマをこのページでお伝えしてゆこうと思っております。
どうぞよろしくお願い申し上げます。


振り返って見れば、東日本大震災の大惨禍から三年余りの時間が流れてゆきました。
あの日、目の前に広がる余りの惨状に言葉もなく立ちつくしていた私たちでしたが、全国の大きなご支援の手に支えられて立ち上がり、あれから二年かけて全国上映の展開をした「エクレール・お菓子放浪記」は、全国に847箇所上映の大きな心の輪をつなぐこととなりました。
そしてそれと平行して完成した「じんじん」は、今年で完成から三年目を数え、これも見事に上映を全国へ拡げ、今年中にはその上映は700箇所予定にまで拡がろうとしています。
いずれも、‘‘地域社会と家族の再生”を願う住民の方々が上映に立ち上がり、実行委員会を結成し、自ら前売券販売に奔走して積み上げた全国上映の大きな輪でした。
まさに「人の幸せ」を願う市民運動として展開して来たこれらの作品の全国上映の積み重ねの中には、数々の感動的な出会いもドラマもあったのでした。
そんな動きをこれからこのページでお伝えして参ります。

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# by cinema-tohoku | 2015-01-09 17:08 | ご挨拶 | Comments(0)