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 27日夜、京都の出張から戻り、翌日の準備のため事務所に寄りました。

 点灯した事務所の蛍光灯に浮かび上がる机の上に一枚のハガキ...。

 私に宛てた宛名の文字は、何と忘れもしない西村先生の直筆の文字!

 裏にはこんなご挨拶が...。



  生きる よろこびを

  食べさせていただきました

  みなさんの友情を おいしく頂きました

  ありがとう さようなら



 そして先生がお亡くなりになられた2016521日の日付が記されていました。

 自らの最後を知って、ここまでの気配りをされていた西村先生...。

 何と見事な、そして心やさしい旅立ちでありましたことか...。

 それにしても、大変なお体をおしてこのハガキをお書きになられた西村先生のお心を思い、涙があふれるのを抑えることは出来ませんでした。

 日本人の「劣化」が語られ、日々の信じがたい報道に晒されていた私に、まるで天国から送られてきた様なこのハガキは、最後の瞬間まで誠実に、そして必死に自らの道を歩み通した一人の男の見事な生き様を私に語ってくれたのでした。

 西村先生...短い間でしたが、差し伸べていただきました数々のやさしさ、本当にありがとうございました...。

 私はもうしばらくこの世で奮闘して見ようと思っています。

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西村先生の役を演じた吉井一肇くん



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 西村滋先生...私たちが製作を手がけた映画「エクレール・お菓子放浪記」の原作者西村滋先生が21日、91年の平和を求めて歩み続けた長い旅を終え、その人生の幕を静かに閉じられました。

 以前からお体の調子が今ひとつ...とはお聞きしていましたが、朝開いた新聞紙面に先生の訃報を目にし、信じられぬ思いで先生のお仲間の方にお電話、最後のご様子をお聞きするや、先生のおやさしいお顔が目の前に浮かび思わず落涙、遠く仙台から西村先生のご冥福をお祈り致しました。

 私が初めて西村先生とお会いしたのは今から何年前のことだったでしょうか。

 静岡駅前のホテルにおいでになった先生は、特徴的な“三日月”の如きお顔に満面の笑みを浮かべて映画化の企画を喜んで下さいました。

 そしてそれ以降、西村先生は幾度にもわたってやさしい手のぬくもりで私を支えて下さいました。

 これまで先生が歩んでこられた道には、語りつくせないほどの困難があった筈なのに、先生はそのことはおくびにも出さずに、おやさしい目を細めて私を見守って下さいました。

 西村先生との出会いと、心やさしきその支えがなければ、震災以降の困難に私は崩れ落ちてしまっていたのではないかと今思えるのです。

 昭和の戦火の時代を生き抜いた西村先生がその生涯をかけて願ったものは「平和」でした。

 今、西村先生のお顔を胸の中に思い浮かべながら、先生がかかげた「平和」のバトンを受け継ぐ決意をそのお姿に語りかけたのでした。

 これまでの長い長い道...ご苦労さまでした...今はただ...安らかにお眠り下さい...合掌

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石巻で行われた撮影には、お仲間の方々とバス一台でおいでいただきました。



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by cinema-tohoku | 2016-05-27 11:19 | Comments(0)

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c川口雅幸/アルファポリス・東映アニメーション

 「虹色ほたる」...こんな美しい題名のアニメーション映画が震災の翌年にあたる2012年に完成、全国公開がされていました。

 思いを込めて製作にあたったのは、これまでも数々の名作を世に送って来た日本アニメ界の老舗東映アニメーション。

 常には、「ワンピース」や「プリキュア」等、東映番線にのせるアニメを製作していましたが、日本にアニメーション文化の新たな地平を拓くべく、大きなそして誇り高い「志」を持ってこの作品の製作にあたったのでした。

 「ちえりとチェリー」の製作委員会のメンバーに加わったことがきっかけでお会いすることとなった東映アニメのA氏から、とにかく是非とも観て欲しい...、こんなご要望を受けて東映アニメの試写室でこの作品と出会うことになりました。

 今は亡き父との思い出を辿って訪れた、ダムの底に「沈んだ筈」の村...。

 そこで少年は、かけがえのない一ヶ月を過ごすこととなったのです。

 大きな、そして美しく輝く自然...心やさしき人々が織り成す地域コミュニティ...熱い友情...そして淡い恋...。

 日本はかくも美しい自然に彩られた国であったことを久しぶりに思い起こされる見事な美術表現の中にこの物語は語られて行きました。

 そして見終わった私の胸は、大きな感動に包まれたのでした。

 経済的な成長のみが語られ、人に対しての許容量も小さくなってしまったかの如き現代社会に生きる私に、この作品は一服の清涼剤となって、かつて私たちの国が持っていた数々の美しいものを私に語ってくれたのでした。

 終了後、A氏とプロデューサーのU氏と懇談となりました。

 この映画の製作にあたっては、あえてCGを排除し、全てを手作業の絵を連ねて作り上げたと...。

 作品の中に描かれる乱舞するホタルの表現さえもが...。

 久し振りに創り手たちの熱い思いの結晶に触れた思いで東映アニメを後にしたのでした。

 さて...いかにしてこの作品を多くの方々にお届け出来るか...そんな思いを頭に巡らせながら...。


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by cinema-tohoku | 2016-05-18 09:43 | 映画 | Comments(1)

 里山の木々をやさしい春の雨がぬらし、心さえ不思議に穏やかにさせられる卯月、思いを込めて製作が続けられて来た「つむぐもの」福井県上映の第一歩となる完成披露試写会が、越前市和紙の里で開催され、600席の会場を満席に埋めた福井県民は、越前を舞台に展開される心のドラマを堪能しました。

 この試写会には、監督の犬童さん、そして主演の石倉三郎さんも駆けつけてくださり、舞台からの心を込めたご挨拶に満場の観客は熱い拍手で応えて下さいました。

 今やほとんどの映画館が「シネコン」にその姿を変え、公開のしくみもすっかり変わってしまいました。

 かつての映画の公開は、都市部から地方へ...数ヶ月をかけて一本の映画が国中に拡がって行ったのでしたが、効率性を重視する「シネコン」はこんな時間のかかることは受け入れませんでした。

 結果、現在は全国一斉公開、そして数字をあげることの出来ない作品はたちまちのうちに切り捨てられてしまうのです。

 まさに大量消費文明を絵に描いた様なしくみが、本来時間もかけて育てるべき「文化」としての映画の世界にまで持ち込まれてしまっているのです。

 それでも「つむぐもの」はこの道を選びませんでした。

 この映画は、その上映にご賛同いただく多くの方々の手にゆだねながら、時間もかけ、そして丁寧に全国に上映の足跡をつむいで行くことを決意しました。

そして、この日はその歩みの第一歩の記念の日となったのでした。

 この映画を支えた数多くの福井県民の“大きく育て!”のお声に送られながら...。

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満員の会場

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監督、石倉さんのご挨拶



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by cinema-tohoku | 2016-05-02 17:16 | 映画 | Comments(0)