故郷‥‥函館…
「君の笑顔に会いたくて」の仕事で函館に来ました。
幸い、函館の更生保護女性会が熱い思いでこの作品を受け止めて下さり、明年秋の1000名目標の上映運動がスタートすることになりました。
「君の笑顔に会いたくて」・・・ここまでの全国の上映準備は、極めて順調に進んでいました。
この作品の持っている今日的な意義と、テーマの分かりやすさがその一つの要因だと思いますが、併せてここまでにていねいに、そして順序をたがえずに進めて来た配給の仕事の反映だろうとも思います。
法務省、そして更生保護関係団体を中心に、上映支援の輪は全国に拡がり、上映を望むお声は相当の地から届けられるようになって来ました。
これこそが、私たちJSNの掲げるスローシネマの仕組みなのかも知れません。
作品が完成してから上映に向けて動き出すのではなく、企画段階で基本的な配給方針を定め、それに基づいて順序良く各方面に働きかけ、完成までには全国上映の大きな流れをつくり上げる・・・。
「君の笑顔に会いたくて」が、これも新たな映画配給の道を語ることになれば・・・と願っています。
仕事が早めに終わり、今日の泊りは函館・・・思いたって夕刻の函館散策に・・・。
この町は、私が幼稚園から小学校3年生までを過ごした懐かしい町・・・。
私のいささか長くなってしまった人生の中で、最も輝く時代をつくってくれた町であり、数々のなつかしい思い出を私の胸に刻んだ町でもありました。
古い記憶をたどってたどり着いた、少年時代の街杉並町は、あっけない程の小さな街路でありました。
子ども時代の記憶にあるこの街は、もっと大きなそれであったと思えるのに…。
そもそも子どもは、果てしないほど大きな未来と夢をその胸の中にあたためながら育っているものなのだと思うのです。
いまだに沢山の未知の世界をその胸にかかえた子どもたちにとって、取りまく回りの環境も、その目には大きく映るものなのかも知れません。
年も重ね、そんな未来への夢の一つ一つが現実の生活の中に整理され、未知なるものも段々と少なくなってしまった私の目に映じたこの街路の小ささは、いささかの哀しさをも私に語ったのでした。
それでも、間もなく生まれようとしている一本の映画が、着々とその輪を全国に拡げ様としていることに一人納得して、疲れた体を居酒屋のカウンターにゆだね、今日一日をおだやかに振り返ったのでした。
明日からは又、連日の旅となることを一時忘れて・・・。
夕暮れの大森浜からは、啄木が眠る立待岬が