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西村滋とゆかいな仲間たち

「エクレール・お菓子放浪記」原作者西村滋さんを囲む恒例の春の集いが、桜も満開を迎えた静岡市の郊外の山あいの温泉宿で開かれました。

西村滋さん…、とてもとてもお優しいお心を胸の中に育て上げ、そのお心を外に向けて静かに語り続けて来られた方です。

そして先生の周りにはいつの間にか、これも心やさしき方々が集い始め、グループをつくり、これまでも数々の素晴らしい活動を展開して来たのでした。

名付けて、「西村滋とゆかいな仲間たち」お一人お一人のすてきな笑顔が目に浮かぶ心やさしき仲間たちでした。


私が西村先生とお会いしたのは、先生の代表作「お菓子放浪記」の映画化を決意したことがきっかけでした。

私たちの手による映画化を先生は満面の笑顔で迎えて下さり、暖かくその行く手を見守って下さいました。

そして、迎えた2011310日の東京での試写会会場には、静岡からバスで駆けつけて下さった先生を始め、心やさしき仲間たちの笑顔が輝いていました。

ここまでにこの方々のご努力で静岡県内上映の準備も進み、上映終了後の西村先生のご満足そうな笑顔に、私はほっと胸をなでおろしたのでした。

そして、何とその翌日

西村先生からのお電話が私の携帯に届いたのは、あの日から2日後のことだったと記憶しています。

先生は心を込めた言葉で私の無事を喜んで下さいました。

そして、その3日後、静岡市で開かれた上映準備の会議には、先生始めやさしき仲間たちがお顔をそろえて下さり、必死の思いを込めて私の姿を見つめるその視線に、いつのまにか私の目には大粒の涙があふれ、頬を伝ったのでした。

その日お別れの時、西村先生はこんな言葉を私に残して下さいました。

“もう少し経てば、春が訪れ、桜も満開を迎える。その折に開いている恒例の集いに、鳥居さんをご招待して励ましてあげたい。

是非参加してくれ…“と。

お招きに甘えて参加させていただいたこの集いは、私の胸を熱くさせ、御礼のご挨拶の言葉は、こみあげたおえつに曇ってしまったのでした。

あの日以来の緊張で張り切った心を温泉宿の湯にゆだね、迎えた翌朝、朝食会場の窓から垣間見た満開の桜の花は、今でも脳裏にしっかりと焼きついています。

“そうか…、時は春を迎えていたのだと…。”


それ以来、毎年この季節になると、この集いに参加することを一年間の行事に加えていました。

迎えた今年の会、西村先生は90歳の卒寿の祝いともなり、笑いのはじける、そして心安らぐ集いとなりました。

時代の閉塞感が語られ、力ある者が弱き者を「自己責任」と語りながら蹴落とすことが、あたかも社会の公正なルールとして語られる現代社会に、それでも人と人との心をつなぐ、こんなにも心やさしき人々が居たことに心安らぐ、そして未来への希望さえ感じさせられた春のひと時でありました。


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当日頂戴したご本『三日月ごよみ』


以下は、本の中のスナップ写真です。

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西村先生と林隆三さん


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「エクレール・お菓子放浪記」撮影中


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集いの一コマ






by cinema-tohoku | 2015-04-16 14:12 | 旅と出会い | Comments(0)