8月を迎えたというのに、ここ東北の梅雨明けはまだ…、それでも日々つのる暑さは確実に夏の訪れを告げています。

 暑中お見舞い申し上げます。

 皆様方におかれましては ご健勝にてご活躍のことと存じます。

 忘れもしないあの大惨禍から6年の時間が流れて行きました。

 あの日、完成したばかりの「エクレール~お菓子放浪記~」をかばんの中に抱えながら、すさまじい傷跡の石巻に茫然として立ちつくしていた私の姿を忘れることはできません。

 これから私たちがたどる道の先にどんな未来が待っているのか想像すら出来ずに、まさに絶望の淵に立ちつくしていた自らの姿を思いおこしてもいます。

 それでも、あの日以降全国からお寄せいただいた心やさしき人の情けは、ほとんど倒れかけていた私の心を支えて下さり、未来に向けてそっと背を押しても下さいました。

 そしてあの日から、私達シネマとうほくの復興に向けた旅は始まったのでした。

 数々の困難もありました・・・それでも暖かい方々のお手に支えられながら、まるで牛の歩みの様な私たちの歩みは、それでも一歩一歩新たな未来を育んでいたのかも知れません。

 気が付いたら、私たちの手には新たな作品が授かり、そしてその作品は、全国に向けたスタートラインに立っていました。 

 「君の笑顔に会いたくて」、宮城県名取市在住の女性保護司を主人公に、「地域社会と家族の再生」、そして「子どもたちの輝く未来」を語ろうとする作品です。

 極めて限られた予算と厳しい制作条件の中での製作でございました。

 今振り返るなら数々の反省も抱えておりますが、とにかくあの日以降、私共の手によるはじめての映画がこの世に生を授かった思いでございます。

そして、この作品の全国初の試写会が720日・21日両日仙台市と名取市で開催され、製作を支えて下さった県民約800人がご参加して下さいました。

いつもながら、はじめての作品のご披露となる試写会は緊張を強いられます。

手がけて来た作品に込めた思いが観客の胸に伝わったか・・・。

幸い ご覧いただいた方々の反響は上々・・・ 涙をぬぐいながら感動を語るご参加者の姿にホッと胸をなでおろしたのでした。

いよいよ、この作品の県内、そして全国への旅立ちです。

 6年前の大惨禍からの私たちの立ち直りへの願いも語りながら…‥。
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「君の笑顔に会いたくて」


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# by cinema-tohoku | 2017-08-01 16:57 | 映画 | Comments(0)

「君の笑顔に会いたくて」の仕事で函館に来ました。

 幸い、函館の更生保護女性会が熱い思いでこの作品を受け止めて下さり、明年秋の1000名目標の上映運動がスタートすることになりました。

 「君の笑顔に会いたくて」・・・ここまでの全国の上映準備は、極めて順調に進んでいました。

 この作品の持っている今日的な意義と、テーマの分かりやすさがその一つの要因だと思いますが、併せてここまでにていねいに、そして順序をたがえずに進めて来た配給の仕事の反映だろうとも思います。

 法務省、そして更生保護関係団体を中心に、上映支援の輪は全国に拡がり、上映を望むお声は相当の地から届けられるようになって来ました。

 これこそが、私たちJSNの掲げるスローシネマの仕組みなのかも知れません。

 作品が完成してから上映に向けて動き出すのではなく、企画段階で基本的な配給方針を定め、それに基づいて順序良く各方面に働きかけ、完成までには全国上映の大きな流れをつくり上げる・・・。

 「君の笑顔に会いたくて」が、これも新たな映画配給の道を語ることになれば・・・と願っています。

 仕事が早めに終わり、今日の泊りは函館・・・思いたって夕刻の函館散策に・・・。

 この町は、私が幼稚園から小学校3年生までを過ごした懐かしい町・・・。

 私のいささか長くなってしまった人生の中で、最も輝く時代をつくってくれた町であり、数々のなつかしい思い出を私の胸に刻んだ町でもありました。

 古い記憶をたどってたどり着いた、少年時代の街杉並町は、あっけない程の小さな街路でありました。

 子ども時代の記憶にあるこの街は、もっと大きなそれであったと思えるのに…。

 そもそも子どもは、果てしないほど大きな未来と夢をその胸の中にあたためながら育っているものなのだと思うのです。

 いまだに沢山の未知の世界をその胸にかかえた子どもたちにとって、取りまく回りの環境も、その目には大きく映るものなのかも知れません。

 年も重ね、そんな未来への夢の一つ一つが現実の生活の中に整理され、未知なるものも段々と少なくなってしまった私の目に映じたこの街路の小ささは、いささかの哀しさをも私に語ったのでした。

 それでも、間もなく生まれようとしている一本の映画が、着々とその輪を全国に拡げ様としていることに一人納得して、疲れた体を居酒屋のカウンターにゆだね、今日一日をおだやかに振り返ったのでした。

 明日からは又、連日の旅となることを一時忘れて・・・。

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夕暮れの大森浜からは、啄木が眠る立待岬が


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# by cinema-tohoku | 2017-07-03 12:25 | 映画 | Comments(0)
 以前のブログに触れました。
 私の胸の中に長年にわたってあたため続けていた企画が、その実現に向けた歩みをおこしていました。
 「疎開保育園物語」(仮題)、あの戦火の時代に、子どもたちの命を必死の思いで守り通した保母たちと、その庇護の翼に守られ平和をとりもどした世界に飛びたって行った子どもたちの物語です。
 そして、このドラマには、その核になる一人の少年が居ました。
 健ちゃん・・・。
 あの時やっと4歳を迎えていた健ちゃんは、1945310日の東京下町を焼き尽くした業火で家族の全てを失い、一夜にして孤児となってしまったのでした。
 原作者 久保さんのお計らいで、あれから72年を経た健ちゃんとお会い出来ました。
 小さなお体に、それでも笑顔で目を細めたおやさしいお姿で健ちゃんは私たちの前に座って下さりました。
 お会いするなり健ちゃんは私に今日の面会のためにご自身の思いを書きつけた一枚のペーパーを渡して下さいました。
 そこには、精いっぱいの思いで映画をスタートさせようとする私たちへの感謝の思いが綴られていました。
 健ちゃんは疎開保育所閉所のあと、新潟県のおじさんに引きとられて苦難の戦後の歩みを始めたことをとつとつとした、それでも心を込めた語り口で語ってくれました。
 中学卒業後就職し、その後幸せな結婚もし、お嬢様2人に恵まれ、今は孫が2人もいることも・・・。
 だんだんとものが言えない時代になってきたように思う...こんな危惧も語りながら健ちゃんは、自分は巡り合わせで神様に生かされてきたのだと…それなればこそ今、平和の尊さを語る責任がある…生き残ったものとして・・・こんな思いを決意を込めた表情で私たちに語って下さいました。
 人に対しての〝善意〟だけを頼りに生きて来たことをうかがわせる健ちゃんに、72年前の自らの幼い姿とスクリーンで再会をさせたい・・・。
 そんな思いを強く胸に刻んだご面会でした。
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健ちゃんと原作者久保さん


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# by cinema-tohoku | 2017-06-23 13:05 | 映画 | Comments(0)

 三浦綾子原作「母」が、現代ぷろだくしょんの手で映画化されたことは、以前のブログで触れました。

 東北での配給をお引き受けして以来、この作品を多くの方々の胸にお届けするべく努力を重ねて参りましたが、幸い、久しぶりにと思える程、東北での上映は各県の中に拡がり、ゴールデンウィーク最後の5月6日、このトップを切った宮城県多賀城文化センターでの上映が、見事なトップランナーの役割を果たしてくれました。

この上映を担った上映実行委員会では、いかにしたらこの映画を多くの方々にご覧いただけるか、幾度にもわたって議論を重ねて来ました。その中から浮かび上がって来た上映のすすめ方は、単に地区内の団体に券をお願いするだけではなく、映画上映成功にご賛同いただける数多くの方々に、「ご賛同者」としてお名前を連ねていただき、この方々と手を携えて成功をめざそうとの方針でした。

これを受けて実行委員会のメンバーは、地域への旺盛な働きかけを行い、集まった「ご賛同者」は何と321名にのぼりました。

この方々は、それぞれのよって立つお立場をこえ、「平和」と「民主主義」を語るこの映画上映成功の一点で実行委員会のお呼びかけに応えてくれた心やさしき市民の方々でした。

そして迎えた上映当日、初回の上映では500席の会場が満席に埋まり、結果的には650名の上映として大成功を収めることになったのでした。

上映成功に頬を染めた実行委員会のメンバーのお顔に、私もほっと胸をなでおろしたのでした。

それにしても上映会においでいただいた方々のほとんどは、ご高齢のしかも“女性„・・・。

まさに数える程しか見えない男性の姿に、男にとってもはや文化は生活の中からかけ離れた存在になってしまったのでは・・・いささかの寂しい思いも味わった上映会場でした。

 いよいよこれから各地での上映・・・人と人を信じ愛し合える社会実現のため、更に上映の輪を大きく拡げて行きたいものです。

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満員の上映会場



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# by cinema-tohoku | 2017-05-10 11:27 | 映画 | Comments(0)
 仙台では又、いじめによると思われる男子中学2年生の自殺が報じられました。
 2014年、そして 2016年に続いて連続して発生した、何と3件目の中学生を巡る悲しい報道に言葉もない思いです。
 一体何が、年端もいかない少年たちを死に追いやるのか・・・。
 たった13年しか生きることの出来なかった、あまりにはかない命に胸が痛みます。
 やはり、現代の日本社会は、何かとても大切なものがゆがみ始めて来ているのではないかと思えるのです。
 社会のさまざまな負の要因が大きな影となって、子どもたちの上に投げかけられているのではないかと思うのです。
 人と人とが互いに信じ合い、支え合う地域社会ではなく、強大な力のあるものにひたすら従順に従い、口をつぐみ、そしてそこからドロップアウトした者を徹底的に排撃する思想・・・。
 命を守り、命を育む心ではなく、命を捨てよ・・・と教える教育勅語を今の時代に追認しようとする信じがたい言論。
 そして、近隣国の狂気に乗じて戦時体制をあおろうとする報道・・・。
私たちの行く道を、もう一度立ち止まって、そして冷静に見つめ直してみる必要があるのではないかと痛切に思えるのです。
一つの命を守ることの出来ない国に、果たして未来はあるのかとも・・・。
それでも自然は巡り、今は一年のうちでも最も華やかな時を迎えています。
満開の桜が散って、さわやかな5月の風が、新緑のやわらかな黄緑色の葉を揺らしています。
花々は一斉にその命を謳うように咲きそろい、全ての命が萌え出すこんな時に、あまりに短い命を自ら断った少年の悲しさに、私たちは寄り添って、そしてそこから学ぶべきものを見つけなければならないと思っています。
そんな、子どもたちの命が輝く未来を願って、1本の映画がここ宮城の地を舞台に生まれ様としている今だから・・・。
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新緑の仙台ケヤキ並木


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# by cinema-tohoku | 2017-05-08 16:48 | その他 | Comments(0)